他人に対し、制御できない怒りを感じることもあるでしょうが、決して手を出してはいけません。
暴行罪の現行犯で逮捕されることもあります。
どうなるのか見ていきましょう。
暴行罪とは?傷害罪とは違う?
法律に暴行の定義は書かれていませんが、その意味は「人の身体に(不法に)有形力を行使する」ことです。
格闘技の試合でもないのに人を叩くと暴行罪が成立するのは、わかりやすいでしょう。
ですが有形力の行使の方法はさまざまです。
例として、以下のものも暴行となります。
- 胸ぐらをつかむ
- 人の髪の毛を切断する
- 物を投げつける
- 液体を掛ける
- 行き止まりに追い込んで威圧する
相手がケガをすると、さらに重罪の傷害罪となります。
暴行罪は、傷害罪に該当しないときに成立する犯罪です。懲役刑は定められていますが2年以下であり、有罪となるにしても罰金刑が多い犯罪です。
よほど執拗で悪質な場合でない限り、単純暴行で刑務所まで行くことは少ないでしょう。
暴行で逮捕されるまで
暴行罪で逮捕されるのは、どんな状況の際でしょうか。
見ていきましょう。
人に対する有形力行使すべてが暴行罪として扱われるわけではない
人にちょっと手を掛けただけで暴行罪になると知れば、驚く人も多いでしょう。
もっとも、犯罪に該当するとしても、すべてが処罰の対象ではありません。喧嘩両成敗でお互い様という状況も多いのです。
暴行現場で騒ぎになって警官がやってきた場合でも、負傷者が出ていない状況で、すぐに逮捕までするとは限りません。
「話を聞きたいから交番(警察署)まで来てくれる?」というだけなら、逮捕ではありません。
被害者または第三者に現行犯逮捕
比較的軽い罪とはいえ、もちろん暴行は犯罪行為です。
人に手を掛けたことで、被害者や第三者に取り押さえられ、暴行罪の現行犯として逮捕(私人逮捕)されることがあります。
とはいえ、どちらが先に手を出したかどうかが、はっきりしないこともあります。
先に手を出したほうが暴行罪、応戦したほうが正当防衛で犯罪にならないことも考えられます。警官がやってきても、加害者被害者双方の言い分を聞かないと、逮捕まではできません。
一方で、見ていた第三者の逮捕なら、逮捕成立と考えていいでしょう。
後日逮捕されることも
ちょっとした小競り合いがあり、手を出した人間がその場を離れたとします。
ひと昔前なら恐らくそれで完結ですが、現在では繁華街やお店など、防犯カメラが多数設置されています。
被害者が警察に訴え出て、録画によってその行為が裏付けられたとするなら、逮捕状が出ることもあります。
その場合、後日逮捕されることがあります。
罪状が明白ではないのなら、捜査のため警察署に出頭するよう求められることもあります。任意なので断っても構いませんが、まず、いい結果にはなりません。
逮捕の後はこうなる
逮捕されると警察署に連行され、取り調べを受けます。逃げるとさらに逃走罪が加わるので、逃げてはいけません。
先に手を出したのが事実の場合、取り調べに抵抗してもほとんど益はありません。怒った理由はあったとしても、これは情状酌量の部分なので、暴行を正当化することはできません。
事実を認め、被害者の証言と内容が一致しているなら、心証もいいので早々に釈放されることでしょう。
ただ釈放といっても、罪に問われないこととイコールではありません。在宅のまま起訴される場合もあります。
取り調べの後、留置所に入れられることも
暴行事件は本来それほど複雑なことにはなりませんが、被害者の処罰感情が強いのに、加害者が取り調べに真摯に応じようとしない場合などは、長引くこともあります。
その日の取り調べが済むと、留置場に入れられます。
逮捕から48時間後に、送検されることになります。送検されると身柄は検察に移り、今度は検察の取り調べを受けます。
送検後、勾留も
送検されると24時間以内に、勾留するかどうかが決定されます。勾留された場合は、最大20日間留置場に入れておかれる可能性があります。
証拠が揃うか、あるいは事件化するほどでない微罪だと判断されれば、いつでも釈放されます。
処罰すべきと検察が判断すると、起訴されます。
暴行の事実を認めている場合は正式裁判でなく、略式起訴となることが多いでしょう。罰金を納付して完結ですが、これは前科になります。
暴行については相手の意思が大きい
暴行罪の逮捕後の流れを見てきました。
暴行罪は負傷者がいないため、証拠は目撃情報と自白が重視されます。
そして起訴されるかどうかは、被害者次第という部分が大きいのも、暴行罪の特色のひとつです。
暴行の事実があったとしても、弁護士を選任していれば、留置されている本人に代わり、被害者と示談を成立させてもらえるかもしれません。
示談金は必要ですが、示談が成立するなら、起訴は免れる可能性が大です。前科もつきません。