日本において薬物汚染は深刻です。それだけ簡単に手に入るわけです。
薬物を持っていて逮捕される事例はたびたびあります。
その後の流れを見ていきましょう。薬物などやらない人にとっても参考になるはずです。
薬物所持で逮捕されるきっかけは
日本の法律で所持や使用が禁じられる薬物は、代表例として次のものです。
- 大麻
- 覚せい剤
- コカイン
- ヘロイン
- MDMA
- マリフアナ
このうち「大麻」についてだけ「使用」が罪に問われません。ただ使用していれば通常、所持もしているので、他の薬物と大きく異なることはありません。
さて、逮捕のきっかけとしては、一般的な犯罪と共通する理由がまずあります。
- 通報(近所、肉親、勤務先)
- 別事件の被疑者の自白に基づき、逮捕状を執行されての逮捕
- 捜査差押許可状による家宅捜索の結果、薬物が発見
長期の内偵の結果、捜索差押許可状が発行される流れは、薬物捜査にはよく見られます。
警察だけでなく、麻薬取締官、いわゆるマトリに逮捕されることもあります。
それ以外にも、薬物犯罪ならではの現行犯逮捕の類型があります。見てみましょう。
所持品の置忘れから発覚
忘れ物や落とし物など、遺失物が警察に届けられ、中から薬物が発見されることは意外とあります。
駅や警察に受取りに行って発覚するケースもありますが、個人情報書類が一緒に入っていて、警察から先に自宅にやってくることもあります。
職務質問
薬物常用者の挙動は、非常に怪しく映ることが多いです。特に警察官は数多くサンプルを見ているので、すぐわかります。
この場合職務質問されます。職務質問自体は強制ではないので拒否できますし、手荷物検査に応じる義務もありません。
とはいえ薬物所持の疑いが濃厚なら、警察官に取り囲んで説得さ、その場から動けないのが普通です。警官を突飛ばしたりすれば、直ちに公務執行妨害で逮捕です。
抵抗を続けるうちに強制採尿の令状を用意されると、もう抵抗手段はありません。
錯乱時の所持品検査
薬物使用で錯乱していて、警察が飛んでくる事例もしばしば見られます。
警官から所持品検査の打診を受けて同意すれば、その場で薬物簡易検査の結果、逮捕となります。
同意しなくても、職務質問と同じ流れになります。
後日逮捕もある
警察が薬物を発見しても、錠剤や粉末の場合など、その場で簡易検査ができません。この場合は現行犯逮捕できないので、いったんは自由の身です。
ただし精密な鑑定の結果、後日逮捕状の執行により逮捕されることになります。
薬物所持の逮捕後はどうする
逮捕は、証拠隠滅や逃走を防ぎ確実な取り調べをするためにおこなわれます。
逮捕そのものは処分ではないのですが、職場や近所に知られれば、大きな不利益になります。
逮捕されたらどうすればいいでしょうか。
証拠が揃っているなら罪を認めるべき
薬物所持で逮捕されたのは、証拠が出たためです。
所持が事実なら、争ってもメリットはほとんどありません。
犯罪事実を認め、不起訴を狙うほうが得策です。起訴されても、初犯なら執行猶予が付く可能性も大です。
逮捕のあとは、48時間は警察に身柄があります。その後、検察に身柄を送られ、24時間以内に勾留するか否かの決定がなされます。
犯罪事実があっても微罪として起訴まで進まず、途中で釈放されることもあります。
ただ薬物事件に関すると、収監については独自の特徴があります。
釈放するとすぐに薬物に手を出すと判断されることが多く、さらに尿や毛髪鑑定など時間のかかる科学捜査が必要になるため、起訴の有無を問わず最大20日間の勾留まで進むことが多いです。
他人のものを預かった場合など、犯罪でない場合もある
薬物所持犯罪については、捜査側は被疑者の「所持」事実を証明していくのですが、中には本当に自分のものではないというケースもあります。
他人の所持品をたまたま預かっていたなどです。
この場合も逮捕されるかもしれません。執行猶予や不起訴の誘惑に駆られ、所持を認めてしまうと、前科が付く可能性も大です。
主張すべき際には主張が必要でしょう。
薬物逮捕のときには弁護士に依頼しよう
逮捕されそうな際、逮捕された際には弁護士を頼るのがおすすめです。
所持が事実の場合でも、社会生活を続けるために最大限動いてもらえます。
弁護士がいると、逮捕後72時間の、家族にも会えない時間帯であっても接見してもらえます。外にも連絡が取れるのです。
薬物の場合、直接の被害者がいないため「示談」に持ち込むことはできないのですが、反省の意を示すためのアドバイスをもらえます。
さらに、他人の荷物を預かっていたなど無実の場合には、捜査側と闘わなければならず、専門家のアドバイスは頼りになります。
薬物逮捕は重大事
逮捕は、平和な生活を一変させる大変な事態です。
もし逮捕されたら、弁護士を頼りましょう。
もちろんそれ以前に、違法な薬物に軽々しく手を出したりしないことが大事です。